読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

激増書庫

将棋と本についてのメモ

米本昌平ほか『優生学と人間社会』

優生学と人間社会――生命科学の世紀はどこへ向かうのか』

優生学と人間社会 (講談社現代新書)

優生学と人間社会 (講談社現代新書)

 

 福祉国家での優生政策を知った。

 

 

【執筆者と担当箇所】

米本昌平〔よねもと しょうへい〕 科学史、科学論

松原洋子〔まつばら ようこ〕 生物学史、医学史

橳島次郎〔ぬでしま じろう〕 先端医療を中心とする科学技術政策論 

市野川容孝〔いちのかわ やすたか〕 医療社会学

[簡易目次]

はじめに  橳島

第1章 イギリスからアメリカへ  米本

第2章 ドイツ  市野川

第3章 北欧  市野川

第4章 フランス 橳島

第5章 日本  松原

終章 生命科学の世紀はどこへ向かうのか  米本

 

 

【目次】

目次   [003-004]

はじめに [005-012]

「優生思想」というタブー/出生前診断への批判/遺伝子治療は優生思想につながるか/本書の構成と狙い

 

第一章 イギリスからアメリカへ――優生学の起源 013

一九世紀自然科学主義/社会ダーウィニズムとは何か/なぜ自由の国アメリカで優生学は広まったか/人体測定学/第一回イギリス社会学会の優生学者たち/優生教育協会/優生学の国際会議/優生学は極右の学問か/実験進化研究所/断種法が合憲となるまで/倫理的変革としての優生運動/IQテスト/移民制限の論理/ナチスの断種法とアメリカ/遺伝学者たちの批判/ナチズムの封印がもたらしたもの/「ナチズム=優生社会=巨悪」という図式

 

第二章 ドイツ――優生学ナチズムか? 051

2.1 ナチズムの再発見 052

ヒトラーという隠喩/フリッツ・N/見捨てられた人びと/一九八〇年代の変容/ナチズムの二つの思想

2.2 ドイツにおける優生学の形成 059

細菌学と優生学/「遺伝」という概念/シャルマイヤーの優生学/変質の三つの原因/優生学の処方箋/アルフレート・プレッツ/プレッツの人種衛生学/生殖衛生学

2.3 ワイマール共和国と優生学 074

廃墟から出発した福祉国家反戦平和と優生学/人間の国有化というプログラム/ゲルリッツ綱領とグロートヤーン/幻の断種法/婚姻前検診の推奨/性と生殖の健康に関する相談所/一九二〇年代の断種法論議

2.4 ワイマールからナチズムへ 089

世界恐慌と断種法/医療における「強制同質化(グライヒシャルトゥング)」/「帝国医務規定」/優生政策の拡大/優生学と人種主義の結合/キリスト教会はどう対応したか/一九三九年九月一日の三つの出来事/安楽死計画――優生学の終焉/「死に至る憐れみ」/ホロコーストとの関係/

 

第三章 北欧――福祉国家優生学 107

3.1 北欧の優生政策 108

ワイマールとの連続性/デンマーク――手厚い福祉と引き換えに/検討委員会の結論/ドイツに先立つデンマークの断種法/断種法の「改正」/スウェーデン――「本人同意」で広がった優生政策/「国民の家」の断種法/拡大を望む声/断種法の「改正」

3.2 戦後から今日に至るまで 125

不妊手術をめぐるドイツの戦後/不妊手術をめぐるスウェーデンデンマークの戦後/出生前診断優生学東西ドイツにおける中絶/一九七〇年代の変化/スウェーデンデンマークにおける中絶/削除されたドイツの胎児条項/新しい優生学とは――自己決定という問題

 

第四章 フランス――家庭医の優生学 141

スウェーデンの強制不妊スキャンダルの飛び火/フランスには断種法がなかった

4.1 フランス優生学の歴史 144

「医学者の優生学」/「育児学」――フランス独自の優生学/ゴルトン優生学はフランスでいかに受け取られたか/フランス優生学会/フランスでの優生学的言説/遺伝か環境か/優生学におけるフランス・ナショナリズム/人種の改善策としての安楽死議論/フランスでの断種論議/婚前検査立法への道のり/第二次大戦下で実現した唯一の優生政策/なぜフランスでは強制的優生政策が採られなかったか

4.2 現代フランスの生命倫理優生学 161

ドイツ優生政策はフランスでいかに受け取られたか/優生学論議の復活/「生命倫理法」/放置された不妊手術の無法状態/人道に対する罪――民族主義と優生思想

 

第五章 日本――戦後の優生保護法という名の断種法 169

5.1 戦後日本の優生政策 170

優生保護法とは何だったのか/ポスト・優生保護法のゆくえ

5.2 国民優生法から優生保護法へ 175

優生保護法と総力戦体制/厚生省の「民族優生方策」/国民優生法/敗戦と国民優生法改廃運動/強化された「優生」の規定

5.3 福祉と「優生」 190

経済成長と人口資質向上対策/「社会開発」というキーワード/福祉コスト削減のための発生予防/厚生省の発生予防研究プロジェクト

5.4 一九七〇年代の「優生」 198

『厚生白書』と『人口白書』における「優生」/「人類遺伝学将来計画」/タブーではなかった「優生」/「不幸な子ども」/優生保護法改正案/「青い芝の会」の胎児条項批判

5.5 「優生」はいかにタブーとなっていったか 219

優生条項への批判/「神聖な義務」問題/優生条項削除の兆し/優生保護法から母体保護法へ/リプロダクティブ・ヘルス / ライツ/自己決定のジレンマ

 

終章 生命科学の世紀はどこへ向かうのか 237

再発見されたナチズム優生学/DNA観はいかに変遷してきたか/出生前診断による中絶をどう考えるか/中国の優生政策/遺伝子資源という考え方/ヒトゲノム計画の急展開/バイオインフォマティックス/アイスランド・プログラム/二一世紀における優生学的危険とは何か/ワトソンの発言/われわれはいま何に向かいあっているのか/体系的懐疑の目と畏怖の感覚を

 

著者略歴 279

参考文献 [i-vii],[286-280]

 

 

【メモ】

第三者に害を与えない限り個人の行動は拘束されない、とするラジカルな自由主義が、アメリカ社会の基本にあり、これが自己責任と消費者のニーズという概念で正当化されるとなると、個人の意志で、自身や生れてくる子の生物学的改造や遺伝的質の選択を行う、個人主義優生学を認知しようとする方向がでてくる。(p.264)

 

渡部昇一『神聖な義務』(1980年10月『週刊文春』)

「神聖な義務」 -arsvi.com